第11回ウディコン感想(4)
~『八人のアダム』から『八人のアダム外伝』へ~
19/08/25
『八人のアダム』のシステムで最も大切なのは、戦闘システムと考えていた。
戦闘はプレイヤーが何百回も繰り返すことになるものだ。
スターズによる戦闘を少しでも楽しめるものにしなければならない。
本作には、強い影響を与えたゲームがいくつか存在する。
その代表格が、
スーパーファミコンの名作『メタルマックス2』である。
主人公の育ての親がテッドブロイラーによってこんがり丸焼きにされるところから始まる本作は、当時たしか小学生であった自分の脳みそにズガガガンと突き刺さった。
メタルマックス2はドラクエやFFにも劣らぬ名作なので、
未プレイの方にはぜひおすすめしたい。
この作品と、ガンダムをはじめとする富野由悠季作品の影響を、
『八人のアダム』の世界は強く色濃く受けている。
メタルマックス風にはしたい、だがもう少し工夫がほしい・・・。
そのとき頭に浮かんだのは、これまた大好きな『スーパーロボット大戦』シリーズ、
通称『スパロボ』である。
スパロボにある改造、そして武器ごとに異なるEN、
さらに近接武器と遠距離武器といった分類。
これはぜひ参考にしたい。
そうだ、ならば距離の概念を導入し、
命中率やダメージに影響するようにしてみてはどうだろう?
戦略性が生まれて面白くなるのではないだろうか。
プレイヤーごとの個性も出てくるはずだ。
かくして、位置を変更しながら戦闘を行うシステムの構想ができた。
戦闘を一気に決めたいときは、前に出る。
支援機は後方で回復や補給に注力・・・といった感じだ。
正直、あまり細かいことは決めていなかった。
3ヶ月ほどで戦闘システムをはじめとする基礎システムを作り上げ、
あとは自分でプレイしながら洗練させていけばよかろうと考えていた。
―3ヶ月で基礎システムを作り上げる・・・ー
こう考えていたのが2018年の10月。
それが自分の力量では到底不可能なことを思い知るのは、
だいぶあとのことであった。
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時は流れ、5月のGW10連休が終わる頃、私は青ざめていた。
システムなどとっくにできていなければならないはずなのに、まだ全然終わらない。
ウディタを起動していた数百時間、
そのほとんどはシステムつくりに費やされていたにも関わらず。
俳優さんたちは不安そうにこちらを見ている。
ラムダの俳優さんなどはまだこどもなので、コテンと寝てしまった。
私はこう思わざるを得なかった。
―『八人のアダム』はウディコンに間に合わない・・・―
こうなったらシステムを捨てるか?
ダラダラとストーリーだけを垂れ流すゲームにしようか?
それはもはやゲームじゃないぞ?
そしてこう決断した。
捨てるのはむしろストーリー。
システムは続行して作る。
世界観はこのまま活かす。
そのために外伝的なショートストーリーを作る。
2019年6月になるかならないかのころ、
あーだこーだとしばらく考えて、主人公のラズが生まれた。
彼の必然についてはストーリーに関わる部分なので、言わない。
タイトルは『八人のアダム外伝』とすることにした。
私の敬愛するフリーゲームの『ASTRIBRA外伝』も、
本編が作り出せないときに生まれたゲームだと知っていたから、それにあやかろうとの思いもあった。
ストーリーはごくシンプルにする予定だった。
少なくとも、『八人のアダム』本編に比べればはるかに短い。
ところが、ラズに付随して、いくつものキャラが生まれてゆく。
ああしたい、こうしたい、と構想も膨らむ。
ストーリー作りが好きな人にはあるあるかもしれないが、
登場人物に過去現在未来が肉付けされてゆくのだ。
これは楽しい作業ではあるが、時間を食う。
ラズの過去、ラズの現在、そしてラズのこれから・・・。
それをある程度描けなければ、ゲームが成立しなくなってきた。
しかし時間がない。
戦闘システムですら未完成。
ストーリー演出は皆無。
画像・音声素材も大量に不足している。
ゲームバランスなんてそれらが出来てからの話だ。
その時、私はひらめいてしまった。
悪魔のささやきだ。
素材の作成の一部をほかの人に依頼してみればいいのではないか・・・?
Twitter上には、何人かコメントなどをし合う作者さまがいる。
ダメ元で、敵のグラフィックを書いてもらえないかつぶやいてみた。
まずは『勇者カンパニー』のokamotoドット絵さんが承諾してくださる。
調子に乗った私は、もう何名かに依頼。
結果、
『すっぽんクエスト』のえりやぬすさん、
『フロースラントの魔法屋さん』のudさん、
『ナナイロアイロニー』製作中のサモエ堂さん、
『勇者カンパニー』でのちに第11回ウディコン四位を獲得するokamotoドット絵さん、
これら計四名の実力ある制作者様たちから、書いてもよいという、お返事をいただく。
さらに追加で友だちと相方にも依頼。
私はあまりの喜びに浮かれまくった。
正直、今回ウディコンに無理やり参加したことで、数少ない良かったことの一つは、
これら作者さんに結果敵グラを描いていただいてしまったことだと思っている。
だが、浮かれると同時に、
背中にはなんとなく嫌な汗をかき始めていた。
時はすでに七月。
ウディコン開催まで一か月を切っていた。
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