第11回ウディコン感想(3)
~『八人のアダムについて』~
19/08/25
『八人のアダム』・・・。
元となるストーリーを思いついたのは10年くらい前だろう。
はじめは『STARS』というタイトルだった気がする。
途中『七人のアダム』というタイトルだったこともある。
当時の私は、
担当がついていた出版社にネームを持ち込んだりして・・・などといった話はあるが、
まあ、これは本編ができたとき覚えていたら話そう(『八人のアダム』本編が完成するのは推定二年後である)。
結果だけを言うと、
当時の私は『八人のアダム』(もしくは『STARS』)を、ろくに形にできなかった。
そこには壮大な世界があるはずだった。
イメージ通りいけば、世にまた新たな名作が誕生するはずだった。
だが、具体的なものはほとんどうまく組み込めなかった。
他人になにも伝わらなかった。
本人でさえよくわかっていないのだから当然だ。
絵にする力、世界観を築く力、展開を魅力的に演出する力、完成させる執念、
なにもかもが欠けていた。
「いつかこの世界が書けるよう成長できるまで、これは手に負えない・・・」
そう思った私はこの作品を引き出しにしまった。
引き出しに駄作・凡作が積み重なって行く日々が続く。
マンガが一向に書けるようにならない私は、
ウディタの存在を知り、ゲームを作ってみようと思い立つ(あれ、去年もこんなこと書いたような・・・?)。
そして、なんのかんのとあって、
2018年7月、第10回ウディコンに『花まるプリンセス』で参加することができた。
『花まるプリンセス』は、
一応の起承転結がついた作品としてウディコンに送り出すことができた幸運な子である。
その結果、何かと中途半端な能力の自分であっても、
ゲームでなら己のストーリーや世界観を出せるのではないか、と思い始めた。
―次は、『八人のアダム』をやってみようか―
これはマンガよりもゲーム向きな題材であると思えた。
機械など描ける画力はないが、ゲームならうまくごまかせるはずだ(おい)。
そう、ついに時が来たのだ。
私は手を叩いて、この作品の俳優さんたちを脳内で呼び出した。
長年待たされた彼ら、彼女らは、
畳で寝っ転がりながら尻をかいたり、テレビを見たり、縁側で日向ぼっこなどをしていたが、久しぶりに私が姿をあらわすと、けげんな顔でこちらを振り向いた。
「ねえ、できるの? あんたに本当に形にできるの?」
これまで何度も舞台を整えることを失敗してきた私に、俳優さんがいった。
「できるさ! さあ、みんな、待たせたね。準備をはじめよう!」
私はそう言って彼らに微笑みかけた。
2018年9月のことだった。