ウディコン初参加の感想(4)

~ウディコンを通して

「ゲームの面白さとは何か」を考察する​~

18/09/05

このお題では、第10回ウディコン作品の中で個人的に「勉強になった」と感じたものをいくつか言及させていただき、そこからゲームの面白さとはなんなのか考察を深めていきたい。

のだが。

はじめにあやまらせていただきたい。

私がプレイした今回のウディコンの作品はかなり少なく、クリアした作品は5作品くらいしかない。だから、もしプレイしていたら紹介したかったであろう良作・名作を見逃している可能性もあると思う。「あの作品がないのはおかしい!」といった意見も平にご容赦いただきたい。

さて、本稿で言及させていただくのは以下の三作とした。

コトダマッスル

フロースラントの魔法屋さん

メタルメサイア -鋼の救世主-

各ゲームについては、ウディコン公式ページの第10回結果発表より確認されたい。

なお、文章内ではゲームの内容に触れてしまう部分がある。

ネタバレを避けたい方は、そっとページを閉じてもらいたい。

では、本題に入る。

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コトダマッスル」(総合順位2位)

日本のコンテンツは少女がメインで出てくるものが多い。アイドルが出てくるフリーゲームなんて作っているヤツまでいる。まあこのあたりは人によると思うのでどうこう言えないが、あまりに少女ばかりでは、ときに食傷気味になってしまうこともないではない。

当然ウディコンにもその傾向はあるが、そんな中で、一種の清涼剤になったのがこのゲームだったのではないだろうか。

内容を簡単に紹介させていただく。

コトダマッスルは対戦形式のタイピングゲームである。表示される文字を正確にタイピングすると、相手の体力ゲージを減らすことができる。条件を満たせば必殺技的なものも使えるウホ。時間をかけすぎたり、タイプミスをしてしまったりすると相手から攻撃を受けてしまう。先に相手の体力ゲージをゼロにすれば勝ちとなる。

この作品の特徴は、「親切」で「個性的なキャラ」がいて「身体的快感指数が高い」ことだろう。

まず「親切さ」。

難易度はどんな人でも楽しめるよう、五段階から選択できる。UIは見やすくポップに設計され、キャラ同士のかけあいはテンポよくシンプルだ。クリアまでのプレイ時間は一時間前後ほどで、クリアしたステージは好きに選択できる。タイピングという特性上誰でも楽しめ、いつやめても問題ない。全体にストレスがたまらない親切設計になっており、配慮を感じる。

次に、「個性的なキャラ」について。

主人公はアニマルな女の子だが、彼女は基本的になにもせずにびっくりしているだけである。本当の主役は「イシカワさん」というマッチョマンだ。

「イシカワさん」は一種の精霊のような存在だが、見た目は完全にただのマッチョなおっさん(?)であり、戦闘は彼が担当し、筋肉と腕力ですべてを解決するいわゆる「脳筋野郎」である。私が冒頭で「清涼剤」と述べたのは彼のことだ。わかりやすくて憎めない素敵なキャラである。

最後に「身体的快感指数が高い」こと。

プレイヤーはイシカワさんと一体になり、ビシバシとタイピングを決めてゆく。タイプしたときの効果音や、ダメージをあたえたときの敵の反応(フラッシュして揺れる。イシカワさんがビンタやパンチをかましているのだろう)は実に心地よい。

また、個人的に勉強になったのは、戦闘開始時にイシカワさんのキャラグラが少し後ずさってバーンと体当たりをするところだ。これが「戦闘がはじまる!」という感じがして好きだった。こういった工夫の積み重ねが大事なのだと思う。

ゲームに対しての好感度は身体的快感が満たされると高まるものだ。このゲームはストレスをためずにスッキリプレイできるゲームを目指したのだろうし、それをよく実現していると思う。円熟したバランス感覚と配慮を感じる良作であった。

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フロースラントの魔法屋さん」(総合順位8位)

おそらく今回のウディコンで一番プレイしたゲーム(といっても二回クリアしただけだが)。一番勉強になったゲームかもしれない。経営本能(?)みたいなものを非常に刺激されたし、ゲームバランスに学ぶ点も多かった。

内容を簡単に紹介させていただく。

主人公の女の子は、学校の課題でお店を経営することになった魔法使い(錬金術師?)の卵である。

お店を破綻させないように経営しながら、半年ごとに行われる試験を合格して、三年間で無事学校を卒業することが目的である。

ゲームの流れをまとめると、以下のようになる。

四人の冒険者に素材採取を依頼(有償)。それぞれの得意不得意を活用する。

手に入った素材を調合してアイテムを作成。未錬金のアイテムを調合すると錬金レベルアップ。

作成したアイテムは、商人やたまにお店に買い物に来る冒険者に売って金策。四人の冒険者に売るときは値段を変更でき、安く売ると友好度がアップ、高く売ると友好度が下がる。ただし冒険者の所持金よりは高く売れない。

お金がたまったら、高額な費用のかかる地域のレアな素材採取を依頼し、冒険者のレベルもバランスよく上げておく。毎月末はお店の運営費がかかるのでその分のお金は残す(よくこれでゲームオーバーになる)。

より高位のアイテムを調合し、自分の錬金レベルを上げつつ高く売る。

半年ごとの試験(一定の錬金レベルが必要)に合格する。

これを三年間繰り返す

やっていない方にはわからないかもしれないが、この繰り返しはなかなか熱中性が高い。とくに数字のやり取りや商売ものが好きな人なら、ハマる可能性は高いだろう。

ゲームはシンプルにテンポよく進行していく。

グラフィックは必要最小限しかないのに勘所を押さえており、よい雰囲気である。

システム設計とゲームバランスはかなり練られており、最初はよくゲームオーバーになるが、コツをつかむと俄然楽しくなってくる。私はまずベリーイージーでクリアして流れを覚え、面白かったのでハードにもトライした。

また、このゲームのユニークな点として、冒険者の所持金も、自分が仕事を依頼して賃金を与えないと増えていかないところがあげられる。これがゲームの難易度を上げて、ほどよいバランスにしている。

さて、ここで考えてみたい。

やっていることは素材を採取し、調合したアイテムを高く売り、うまくお店を経営するだけである。イベントもほとんど起きず、物語性は少ない。

なのになぜこの繰り返しに面白さを感じるのだろう?

それはたぶん、人間の「交換」や「交易」という本能を刺激するからだと思う。

交換の過程で新しいアイテムができ、みんなのレベルが上がるのも快感である。

人間社会の根っこは「交換」であり、そもそも「交換」とはその行為自体が楽しいものだ。

コミケやデザフェスといったイベントが活況なのは、作り手と買い手が直接「交換」することが楽しいためだろうし、

ウディコンも「コンテスト」という場が作られることで、

「作者はゲームを提供」→←「プレイヤーはコメントと評価で返答」という「交換関係」が成立しているから楽しいのだろう。

そして、社会や組織をうまく運営し、うまく循環させると人は楽しいのだ。

世の一流経営者にニコニコしている(ように見える)人が多いのは、彼らは仕事が楽しいのだろうと思う。

 

だから、人気のあるゲームは、ゲーム内でなんらかの「交換」をしたくなるような設計がされている。ゲーム内のアイテムなどの「交換」要素はもちろんだが、プレイヤー同士が「情報交換」したくなるような要素があるとなおよいだろう。

プレイヤーは情報交換そのものが楽しいものだし、あるゲームに関する情報が多く飛び交うと、そのゲームを知らない人もそれがなんなのか気になるものである。口コミの力を思い浮かべるとわかりやすい。

なんにせよ、「交換」しなければ世界は回らないし、「交換」は人間社会の根っこだ。

そのことをあらためて教えてくれる良作であった・・・

などと考えていたのだが、

それに加えてもう一つの仮説をでっちあげたくなった。

このゲームが面白いのは、ゲーム内の構図が、現実の縮図であるためではないか

主人公の少女のやっていることは「経営」どころかもはや「国家の運営」といってよいのではないか?

という仮説である。

わかりやすいように以下では、

「主人公の女の子」を「国家」、

「冒険者」を「国民」、

「素材採取」を「仕事」、

「素材」を「成果」、

「アイテム」を「商品」、

「商人」を「外国」と読み替えてみよう。

(※ムチャクチャであるが、思考実験だと思ってほしい。ちなみに、私は経済はまったく専門外なので信用するかは慎重に判断されたい)

国家(主人公の女の子)は国家を強く大きくするために国民(冒険者)からお金を徴収したい。

それには国民にある程度の貯蓄がなければならない。

だからまず、国民に仕事(素材採取)を与え、国民の懐をうるおす必要があるのだが、はじめは国家も国民に払う賃金がなく、国民も力量(レベル)が低いためよい成果(素材)は得られない。

 

よって、まず貨幣を自分の社会に流入させることを考える。

 

はじめは、ケチな外国(商人)相手にチープな商品(アイテム)を売ってお金を得る。

 

そうして少しお金のできた国家は、国民に高めの賃金を払い、すこし難しい仕事をさせる。

国民に難しい仕事をさせると、はじめは失敗するが、次第にその力量(レベル)が上がってゆく。仕事をもらえると国民の国家への信頼(友好度)も高まる。

力量を上げた国民はより高い成果を上げられるようになる。

高い成果の結果、よい商品が生まれ、外国もそこそこの額で買ってくれるので、社会に流通する貨幣の量が増える。

 

貨幣の量が増えてきたら、国民に商品を少し高く売ってみる。国民はお金があるので、それでも払うことができる(物価の上昇または課税)。高く売りすぎると国家への信頼が下がる。

 

これを繰り返してゆくと、

「国民の力量が上がることで、仕事の成果があがり、外国との貿易で流入する貨幣の量が増え」、

「国民により高い賃金が払えることになり、国民は景気よく買い物をする余裕が増し」、「結果として国家も国民から巻き上げるお金(税金など)が増える」というポジティブな循環が生まれるのだ。


 

・・・脱線してきた。この辺りでやめよう。

 

(※ちなみに、この「国民に高い賃金を払ってそのレベルを上げる」ことをせずに、

「目先の利益のためにできるだけ国民を安く使うことを推奨し、国民のレベルが上がらず諸外国に水をあけられ結果としてとんでもなく貧乏になってしまった」のが現在の日本の姿である。

悲しい!)

 

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メタルメサイア -鋼の救世主-」総合順位24位

 

この作品に関する評価はこれまでよりもさらに個人的である。

ゲームとしての完成度は、おそらく上の二作品に劣る。

だが、世界観として、モチーフの選択として、もし今後の改良や続編があるならその期待として、今回のウディコンで一番な好きな作品だったように思う。

 

このゲームはAIを組んで、機兵をドンパチさせるゲームである。もうそれだけで正直ドストライクだった。私はメタルマックス2が大好きなのだ(より近いのはフロントミッションやアーマードコアなのだろうけど)。

 

「好き」という感情をどうしたら人に呼び起こすことができるのかは謎であるが、

「好き」と思わせたらそれはもう勝ちといえる。

 

サンデーの売上がコナンの「安室透」人気で伸びたのが、その好例である。

(※この現象、私は何がいいのかわからず困惑している。好きな人ごめんなさい)

 

「好きって思わせたら勝ち!!」はわかる。

でもどうすればだれが好きになってくれるかはわからない。

 

そんなことを考えながらため息をついて、

本稿の締めとしたい。

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繰り返しになるが、各ゲームについては、

ウディコン公式ページの第10回結果発表より確認していただければと思う。

【5】では自分にとってのウディコンの総括と、来年のウディコンのことなどを述べてみたい。